Job Dictionary インサイドセールス|聞く力とデータで信頼を育てる仕事

インサイドセールスは、データとコミュニケーションを駆使して企業の成長を内側から支える、やりがいと将来性に溢れた仕事です。

一方、心のどこかでこんな壁を感じていませんか?

  • 「”セールス”って、ノルマが厳しそうだし自分には向いてないかも…」
  • 「IT業界の仕事って、専門知識がないと難しそう…」

じつはこうした不安は「誤解」です。インサイドセールスで必要なスキルは、一般的な営業職はもちろん、事務職やサービス業などの経験を通してすでに身についているかもしれません。

今回はインサイドセールス未経験者向けに、仕事内容や年収、待遇、適性、将来性などの気になる情報を紹介します。未経験からインサイドセールスに転職する方法も紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

Index

インサイドセールスの仕事内容

まずは、近年広がりつつある営業職の一種「インサイドセールス」とはどんな仕事かを理解していきましょう。

インサイドセールスってどんな仕事?

インサイドセールスは、電話やメールなどでお客様のお悩みを引き出すことで、商品・サービスへの興味を高める内勤型の営業職です。

インサイドセールスが対応するのは、データをもとに「商材を購入・契約する可能性が高い!」とツールが判断したお客様のみ。

売上につながる顧客への対応に集中できるので、効率的に成果を出せる職種です。

💡インサイドセールスで知っておきたい用語
見込み客(リード)
商品・サービスに興味を持ったお客様のことです。すぐに「買いたい!」とならない見込み客に対し、有益な情報提供などを通じて中長期的に関係を構築し、購買意欲を高める「リードナーチャリング(見込み客の育成)」を行います。
CRM(顧客関係管理)
見込み客との過去のつながりを記録するツールです。CRMに「誰に」「いつ」「どんな話をしたか」をまとめることで、マーケティングとインサイドセールスが情報を連携します。
SFA(営業支援システム)
見込み客に対して「これから何をすべきか」や、営業部門全体の売上予測などの、未来がわかるツールです。インサイドセールスとフィールドセールスが連携するために活用します。

インサイドセールスって、結局テレアポと何が違うの?

インサイドセールスとテレアポは、仕事の目的が全く異なります。テレアポは「アポイントの獲得」が主な目的ですが、インサイドセールスは「見込み客の育成と関係構築」がミッションです。

ただ電話をかけるだけでなく、データに基づき、お客様の課題に寄り添い、解決策を提示することで信頼関係を築き、商品・サービスへの興味を高めていく内勤型の営業職です。

比較項目インサイドセールステレアポ
ミッション見込み客の育成、関係構築アポイントの獲得
主なKPI商談化率、受注率架電数、アポ獲得数
対話の質課題ヒアリング(聞く中心)商品説明(話す中心)
必要なスキル傾聴力、仮説構築力トークのうまさ

テレアポのように闇雲に電話をかけるのではなく、一件一件のコミュニケーションの質が問われる、緻密な頭脳労働が中心の仕事がインサイドセールスです。

インサイドセールスは、なぜ「きつい」「やめとけ」と言われるのか?

インサイドセールスについて調べると、ネガティブな意見を目にすることがあるかもしれません。その多くは、次のような誤解から生まれています。

誤解①:体育会系のノリで、ひたすら電話をかける仕事?

実際のインサイドセールスは、データをもとに仮説を立て、適切なタイミングで見込み客が求める情報を伝える頭脳労働が中心です。闇雲に電話をかけるのではなく、コミュニケーションの質が問われます。

誤解②:ノルマが厳しくて、精神的にキツそう…

インサイドセールスは個人だけでなく、チーム全体の目標達成を重視する文化が根付いています。全員で目標に向かって協力し、成功事例を共有しあう習慣のある企業が多いのが特徴です。

誤解③:コミュニケーション能力がないと活躍できない?

流暢に話す力よりも、顧客の課題を深掘りする傾聴力が重要です。話すのが苦手でも「セールスフレームワーク」という型を使うことで、顧客自身も気づいていない潜在的なニーズを引き出すことができます。

それでもインサイドセールスが「将来性がある」と言われる本当の理由

インサイドセールスは、営業プロセス分業体制「The Model(ザ・モデル)」の一つです。

従来の営業は、顧客を見つけるところから商談までを一気通貫で担当します。

The Modelでは商談までを3つのフェーズにわけて分担するので、担当

フェーズに集中して、専門性を高められるのが特徴です。

職種役割
マーケティング商品・サービスを知ってもらう機会をつくる(手段:広告出稿、セミナー開催、展示会出展 など)
インサイドセールス商品・サービスの購入意欲を高める(手段:電話で顧客の課題をヒアリング、課題にあった情報をメールで提供 など)
フィールドセールス商品・サービスを契約してもらう(手段:訪問やオンライン会議による商談)

インサイドセールスの1日

経験1〜2年目のインサイドセールスのスケジュールを例に、具体的な仕事のイメージを掴んでみましょう。

時間帯業務内容活用するスキル・ツール
9:00-10:00始業・タスクの確認・メールやチャットツールの確認・返信・CRMをチェックし、夜間に来た新規リードを確認・1日の架電リストやタスクの優先順位付け・タスク管理能力、情報整理力・ツール: CRM/SFA (Salesforceなど)、Slack/Teams、Google Workspace
10:00-12:00見込み客への架電・メール・優先度の高い見込み客への架電・Webサイトからの問い合わせ(インバウンドリード)への即時アプローチ・メールでの情報提供やアポイント打診・ヒアリング力、簡潔な説明能力・ツール: CRM/SFA、電話・CTIシステム、メール、トークスクリプト
12:00-13:00お昼休憩
13:00-15:00Web会議・フォローアップ・事前に約束した顧客とのWeb会議(サービス説明など)・午前中に繋がらなかった見込み客への再アプローチ・会議内容や顧客との対話履歴をCRMに正確に入力・課題解決提案力、製品知識・ツール: Zoom/Google Meet、CRM/SFA、オンラインカレンダー
15:00-17:00チーム連携・資料作成・チームミーティングで進捗や成功事例を共有・フィールドセールスに引き継ぐための顧客情報シートを作成・顧客に合わせた補足資料の準備・チームワーク、情報連携能力・ツール: ドキュメント作成ツール、CRM/SFA、Slack/Teams
17:00-18:00終業準備・1日の振り返り・全ての活動履歴をCRMに入力完了させる・1日の成果(架電数、アポ獲得数など)を整理・報告・明日のタスクを整理して退勤・データ入力の正確性、報告力・ツール: CRM/SFA、タスク管理ツール

インサイドセールスの働き方とキャリア

仕事への理解が深まったら、次は転職した後のリアルな生活を想像してみましょう。

【データで見る】年収・働き方のリアル

項目数値備考
年収相場未経験・エントリー:
300万円~450万円メンバークラス(経験者):
400万円~700万円マネージャー・リーダー:
700万円~1,100万円以上
成果がインセンティブとして反映される企業も多く、スキルと経験次第でさらに高年収を狙える
リモートワーク導入率(※)80%(インサイドセールス未導入企業は41%)PCとネット環境があれば完結できる業務が多いため、場所を選ばない働き方を実現しやすい
平均残業時間月20時間以内(目安)フィールドセールスに比べて移動時間がなく、効率的に業務を進められるため、プライベートとの両立がしやすい
平均年齢平均30歳前後(目安)20代〜30代の若手を中心に活躍
男女比率男性:女性=6:4(目安)女性の割合が比較的高い性別に関わらず実力で評価される環境が多い

※:【インサイドセールスに関する調査】外出自粛に伴う働き方の変化により、自粛が取りざたされた3月以降、インサイドセールスを導入する企業が急増

どこで働く?事業内容と企業規模による違い

どんな企業でインサイドセールスとして働くかによって、扱う商材や教育体制などが変わってきます。

インサイドセールスの求人がある企業

法人営業(有形商材)
⚙️工場機械 🖥️ PC
法人営業(無形商材)
☁️ SaaS 👤 人材
個人営業(有形商材)
🏠️不動産 🚗 自動車
個人営業(無形商材)
💰️ 保険・金融 ✏️ 教育サービス

インサイドセールスは、「BtoB商材(法人向け)」「BtoC(個人向け)の高額商材」を扱う企業で多く導入されている職種です。

BtoB業界で最も一般的なのは、SaaS(サブスク型ソフトウェアの開発・販売企業)をはじめとするIT業界です。くわえて近年では、製造業、広告、人材サービスなど、あらゆるBtoB(企業向け)ビジネスで導入が進んでいます。

BtoCの高額商材とは、不動産、金融商品、高価格帯の教育サービスなど、購入するかどうかじっくり検討する商材です。顧客との関係構築を担うインサイドセールスの重要性が高まっています。

企業規模による環境の違い

🏢大手・メガベンチャー企業
・研修制度充実
・キャリアパスが明確
👥スタートアップ・ベンチャー企業
・裁量が大きい
・自発的に学ぶ姿勢が必要

大手・メガベンチャー企業では、研修制度が充実していて、確立された仕組みの中で体系的にスキルを学べます。大規模な顧客データを扱え、キャリアパスも明確なことが多い一方、業務は分業化されている傾向にあります。

スタートアップ・ベンチャー企業では、 一人ひとりの裁量が大きく、インサイドセールスの仕組み作りそのものに関われる可能性があります。自分の仕事が事業の成長に直結するのをダイレクトに感じられますが、整った研修は少なく、自ら学ぶ姿勢が不可欠です。

インサイドセールスの未経験者採用で、担当者が見ているポイント

企業が未経験者を採用する際、必ずしも「即戦力となるスキル」だけを見ているわけではありません。

採用担当者は、履歴書や面接で「これまでの仕事で、どのように考え、行動してきたか」といったビジネスの基礎体力を見ています。あなたが今の仕事で当たり前にやっていることの中に、インサイドセールスとして輝く「武器」は必ず隠されています。

「IT業界未経験だから、データを扱う仕事って難しそうに感じる」

「本格的な営業経験もないし、人と話すのもそれほど得意じゃない」

という方も、自分の武器の見つけ方を一緒に考えていきましょう。

武器になる経験①:相手に寄り添い、信頼関係を築いた経験

心当たりはありませんか?

  • お客様の話をじっくり聞き、本当に求めているものを探った経験
  • マニュアル通りではなく、相手の状況に合わせて柔軟に対応した経験
  • 「ありがとう」と言われることに、やりがいを感じた経験

こうした経験は、例えばアパレルなどの販売職や飲食店の接客、コールセンターでの顧客対応などで培われます。一見、インサイドセールスとは無関係に思えるかもしれません。

しかし採用担当者は、こうした経験から「顧客の言葉の裏にある本音や課題を丁寧に引き出す力(傾聴力)」や「長期的な関係を築く力(関係構築力)」といった、インサイドセールスの核となるスキルを見出します。

ただ話がうまいだけでは、顧客の心は動かせません。相手の立場に立ち、深く理解しようとする姿勢こそが、信頼されるインサイドセールスになるための最初の武器なのです。

武器になる経験②:正確さを意識し、物事を着実に進めた経験

心当たりはありませんか?

  • 誰が見ても分かるように、情報を整理して共有した経験
  • ミスがないようにダブルチェックを徹底したり、仕組みを工夫したりした経験
  • チームがうまく回るように、先回りしてタスクを片付けた経験

こうした経験は、営業事務や経理、総務といったアシスタント職などで培われることが多いでしょう。

採用担当者は、こうした日々の業務への向き合い方から、「顧客情報を正確に管理し、チームに貢献する力(緻密さ)」や「営業活動全体をスムーズに進めるための力(段取り力)」を判断しています。

インサイドセールスは、顧客情報という「資産」を扱う仕事です。CRM(顧客関係管理)ツールに正確な情報を入力し、次の担当者へスムーズにパスを出す。こうした一つひとつの丁寧な仕事が、組織全体の成果を大きく左右するのです。

武器になる経験③:目標を達成するために、工夫して行動した経験

心当たりはありませんか?

  • 売上などの目標に対し、自分なりにアプローチ方法を考え、試した経験
  • 「どうすればもっと良くなるか」を考え、周りを巻き込んで改善した経験
  • うまくいかなくても、すぐに諦めずに別の方法を探した経験

こうした経験は、個人向けの営業職や店舗の売上管理など、何らかの「目標」を追いかけた経験がある方なら、きっとお持ちのはずです。

採用担当者は、この経験から「数字から逆算して行動を組み立てる力(目標達成志向)」や「言われたことだけでなく、自ら考えて動く力(主体性)」を高く評価します。

インサイドセールスは、マーケティングと営業をつなぐ重要な役割を担い、チームで目標を追う仕事です。その中で「自分ならどうするか」を考え、行動できる力は、あなたの市場価値を大きく高める武器となります。

ほら、あなたにも当てはまる経験があったのではないでしょうか?

ITの基礎知識や専門的なセールストークは、いまから学べます。しかし、こうしたビジネスの現場で培った「仕事に向き合う姿勢」や「相手を思う力」は、一朝一夕では身につきません。

それこそが、あなたのキャリアを拓く、最も価値ある財産なのです。

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インサイドセールスになった後の未来をチェック!

インサイドセールスとして働くことで、どんなキャリアの選択肢が手に入るのでしょうか。

身につくスキルタグ

インサイドセールスの仕事を通して、身につく代表的なスキルを紹介します。

カテゴリスキルタグ
専門・実行スキル#セールスフレームワーク
#CRM/SFAの活用
#SaaSの知識
ポータブルスキル#傾聴力・ヒアリング能力
#仮説構築力
#データ分析能力
キャリアチェンジに繋がるスキル#顧客インサイト分析
#顧客単価(LTV)の理解
#リード獲得の仕組み化

キャリアパス

インサイドセールスは、顧客と市場を深く理解する経験を通して、キャリアの市場価値を高められる仕事です。

現場で数年間経験を積んだ先には、あなたの興味や適性に合わせた多彩なキャリアの選択肢が広がっています。

インサイドセールスとして長く働くチームを導く「マネジメント」メンバーの育成やチーム全体の目標管理、営業戦略の立案など、「人を動かして」より大きな成果を出すことがミッションです。
現場を極める「スペシャリスト」チームで最も難しい案件を担当するエースプレイヤーになったり、後輩の指導役(メンター)を担ったりと、高い専門性で現場を牽引します。
自由な働き方を実現する「フリーランス」個人事業主として複数の企業と業務委託契約を結び、プロジェクト単位でインサイドセールス業務を請け負います。
経験を活かしてキャリアチェンジクロージングを担当する「フィールドセールス」インサイドセールスからのパスを受け取ってお客様と商談し、契約を獲得します。
商材導入後のパートナー「カスタマーサクセス」契約後の顧客に寄り添い、サービスを最大限活用してもらうための支援を行うパートナーのような存在です。

AIに仕事は奪われる?

「7割の職種はAIの影響を受ける」と言われていますが、インサイドセールスという仕事自体がなくなる心配はありません。AIに代替されるのではなく、AIを賢いアシスタントとして使いこなす側に回ります。

単純な情報提供や日程調整はAIに任せ、人間にしかできない業務に集中できるようになります。たとえば、顧客の言葉にできない悩みを察する共感力や、チームと協力してより良い解決策を探る対話力は、人間だから持てるスキルです。インサイドセールスのスキルは、AI時代にはますます重要な武器になります。

【完全ロードマップ】未経験から「なれる」に変わる、3つのステップ

「挑戦してみたい!」その気持ちを現実に変えるための、具体的なロードマップをご紹介します。

Step1:土台となる知識と考え方を身につける

まずは、インサイドセールスとして働く上で基本となる考え方や、日常的に使うツールの知識をインプットしましょう。

セールスの「型」を学ぶ
たとえば「BANT条件」という、顧客の予算(Budget)、決裁権(Authority)、必要性(Needs)、導入時期(Timeframe)を確認するためのフレームワーク(思考の枠組み)を知っておくと、顧客へのヒアリングの質が格段に上がります。

ツールの基本を知る
多くの企業が「Salesforce(セールスフォース)」に代表されるCRM/SFA(顧客管理/営業支援)ツールを使っています。これがどんなもので、なぜ重要なのかを理解しておくだけで、面接でのアピールに繋がります。

資格は必要?
必須ではありませんが、もし学習の道標が欲しいなら「Salesforce 認定アドミニストレーター」などの資格を目指すのも良いでしょう。知識の証明になります。

Step2:「武器」を言語化し、伝える準備をする

あなたの経験を棚卸しし、「なぜその経験がインサイドセールスで活かせるのか」を自分の言葉で説明できるように準備しましょう。これが、未経験からの転職活動で最も重要なプロセスです。

Step3:自分の価値を伝え、内定を勝ち取る

準備が整ったら、いよいよ実践です。職務経歴書や面接では、これまでの経験をただ羅列するのではなく、「その経験から何を学び、その学びをインサイドセールスの仕事でどう活かせるか」という視点で、自信を持ってアピールしましょう。

【でも…】このロードマップ、一人で走りきれますか?

「自分の本当の強みって、どうやって見つければいいの?」

「未経験でも通用する職務経歴書の書き方が分からない…」

「面接で何を、どう伝えれば評価されるんだろう…」

未経験からの挑戦では、このような壁にぶつかるのが当たり前です。でも、ご安心ください。そのためのプロフェッショナルがいます。

リスキリング転職サービス**「WorX(ワークス)」**では、この転職ロードマップの全てを、専門のカウンセラーと現役で活躍するメンターが徹底的にサポートします。

●  転職成功後のスタートダッシュまで見据えた、実践的なカリキュラム

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WorXの最大の特徴は、学びながら本当に自分が目指したい職種を決められること。「インサイドセールスを学んでみたけど、向いていないかも…」そんなミスマッチを防ぎ、あなたの可能性を最大限に広げます。

また、料金のお支払いは転職成功した後です。「せっかく高いお金を払っても無駄になったらどうしよう」という不安なく取り組めるので、転職活動に集中できますよ。

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WorX編集部記事を書いた人

これまで多くの受講生の転職成功をサポートしてきたWorXが、独自のノウハウをもとに未経験転職に役立つ情報を発信しています。

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