バックエンドエンジニアは、Webサービスの”心臓部”を構築する、高い専門性と将来性に溢れた仕事です。
一方で、キャリアチェンジを検討する中で、このような不安を感じてはいないでしょうか?
「文系でプログラミング未経験だと、やっぱり転職は難しいのかな…」
「将来のために専門スキルを身につけたいけど、今から新しい分野に挑戦するのは難しいかも…」
実は、こうした不安の多くは「誤解」から生まれています。サービスの裏側を支えるバックエンドエンジニアに必要な「物事を正確に進める力」や「課題を発見する視点」は、あなたのこれまでのキャリアで培っているかもしれません。
この記事では、バックエンドエンジニアへの転職を検討する方のために、仕事内容から年収、働き方のリアルまで、必要な情報を網羅的に解説します。未経験から転職を実現するための具体的なロードマップも紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
Index
1. バックエンドエンジニアの仕事内容
ITエンジニアの一種である「バックエンドエンジニア」がどのような仕事なのかを紹介します。
バックエンドエンジニアってどんな仕事?
バックエンドエンジニアとは、Webサイトやアプリケーションにおける、ユーザーの目に見えない裏側の仕組みを開発する技術専門職です。
例えば、SNSにログインしたり、ECサイトで商品を検索したりする際、私たちのリクエストに応じてサーバー側では膨大なデータ処理が行われています。このWebサービスの”心臓部”と言える根幹的な機能を開発し、安定的に稼働させ続けることが、バックエンドエンジニアの重要な役割です。
| 💡IT業界未経験者が知っておきたい専門用語 | |
| Webアプリケーション(アプリ) | 「アプリ」と聞くとスマートフォンアプリを想像しがちですが、Web業界では「Webアプリケーション」を指すことが多くあります。閲覧するだけの静的なホームページとは異なり、ログイン機能や決済機能、検索機能などを持つ、ブラウザ上で動く多機能なサービス(例:SNS、ECサイト)を指します。バックエンドは、この「機能」を実現するために不可欠な存在です。 |
| データベース | 会員情報や商品情報、投稿データといった、Webサービスに必要な多種多様なデータを整理・保管しておくための「データの格納庫」です。バックエンドエンジニアは、このデータベースから効率的にデータを取り出したり、安全に保存したりする仕組みを構築します。 |
フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの違い
同じWebエンジニアであるフロントエンドエンジニアとは、担当領域が明確に異なります。
- フロントエンドエンジニア: ユーザーが直接目にする画面のレイアウトや、ボタンをクリックした際の動きなど、「UI(使いやすさ)」や「UX(利用体験)」を担当します。
- バックエンドエンジニア: ユーザーからは見えないサーバー側で、データの処理やセキュリティの確保、システムのパフォーマンス維持に責任を持ち、「機能性」や「安定性」を追求します。
両者がAPIを介して連携することで、一つのWebサービスが成り立っています。
| 💡IT業界未経験者が知っておきたい専門用語 | |
| API (Application Programming Interface) | フロントエンド(ユーザーが見る画面)とバックエンド(裏側の処理)が、情報を円滑にやり取りするための「接続窓口」となる仕組みです。レストランで例えるなら、客席(フロントエンド)からの注文を厨房(バックエンド)に正確に伝えるウェイターの役割、と捉えると理解しやすいでしょう。 |
インフラエンジニアとバックエンドエンジニアの違い
もう一つ、混同されやすいのがインフラエンジニアです。これは担当する「層」が異なります。
- インフラエンジニア: レストランに例えるなら、建物や電気・ガス・水道といった「インフラ設備」を整備する役割です。サーバー機器やOSといった、アプリケーションが動くための土台そのものを構築・保守します。
- バックエンドエンジニア: インフラエンジニアが整えた土台の上で、アプリケーションという「厨房の機能」を開発する料理人に例えられます。
| 💡IT業界未経験者が知っておきたい専門用語 | |
| サーバー | Webサービスの情報や機能が格納されている、インターネット上の「コンピューター」です。私たちがPCやスマートフォンからWebサイトにアクセスすると、このサーバーが要求に応答し、情報を提供します。バックエンドエンジニアは、このサーバー上で動作するプログラムを開発します。 |
バックエンドエンジニアの1日(経験1〜2年目のスケジュール例)
若手エンジニアのよくある1日の流れを紹介します。
| 時間帯 | 業務内容 | 活用するスキル・ツール |
| 10:00 – 10:30 | 朝会(チームミーティング) チームで進捗状況や今日のタスクを確認します。 | コミュニケーション能力、報告・連絡・相談 |
| 10:30 – 12:30 | 集中開発タイム① 設計書を基に、新機能の実装やバグ修正に集中して取り組みます。 | プログラミングスキル(Python, Java, Rubyなど)、論理的思考力 |
| 12:30 – 13:30 | 昼休憩 | – |
| 13:30 – 15:00 | コードレビュー or 設計 同僚が書いたコードをチェックして品質を担保したり、新機能のデータベース設計を行ったりします。 | 技術的対話能力、設計スキル、SQL |
| 15:00 – 16:00 | 関連部署との打ち合わせ 企画担当者と新機能の仕様について議論したり、フロントエンドエンジニアとAPIの仕様を相談したりします。 | 調整能力、ドキュメント読解力 |
| 16:00 – 18:30 | 集中開発タイム② ミーティング内容を反映させて開発を再開。完成したコードはGitHubに登録します。 | Git/GitHub、集中力 |
| 18:30 – 19:00 | 終業・自己学習 日報をまとめ、明日のタスクを整理。退勤後に新しい技術を学ぶ人も多いです。 | 自己管理能力、継続的な学習意欲 |
2. バックエンドエンジニアの「きつさ」と「やりがい」
「バックエンドエンジニア」と検索すると、「きつい」「地味」といった言葉を目にして、不安になるかもしれません。この章では、その言葉の裏にある「大変さ」の真相と、それを上回る「やりがい」について解説します。
「きつさ」の真相は、サービスの根幹を担う「責任の重さ」
バックエンドエンジニアの「きつさ」の核心は、サービスの根幹を支えるがゆえの責任の重さにあると言えるでしょう。バックエンドの不具合は、サービス全体の停止といった重大な障害に直結し、ビジネスに大きな損害を与えかねません。
また、IT技術の進化は非常に速く、常に新しい知識を学び続ける姿勢が不可欠です。この絶え間ない学習へのプレッシャーも、大変さの一因です。
「やりがい」は、ビジネスを支える「達成感」と「知的な探求心」
その重い責任の裏返しとして、自分の仕事がビジネスの根幹を支えているという大きな達成感を得ることができます。ユーザーの目には見えなくても、自分が構築したシステムが何万人ものリクエストを安定して処理し、サービスを動かしているという実感は、何物にも代えがたいやりがいです。
また、複雑なロジックを組み立てたり、原因不明のバグを突き止めたりするプロセスは、知的なパズルを解くような面白さがあり、問題解決が好きな人の探求心を満たしてくれます。
3. バックエンドエンジニアの働き方
バックエンドエンジニアに転職した後は、どんな働き方やライフスタイルになるのか、リアルな情報を紹介します。
データでわかるバックエンドエンジニアのリアル
| 項目 | 数値/傾向 | 備考 |
| 年収相場 | 未経験: 300万円~450万円 経験者: 500万円~1,000万円以上 | 3~5年の実務経験で年収は大きく上昇する傾向にあります。クラウド技術や需要の高い言語(Goなど)のスキルは、さらなる年収アップに繋がります。 |
| リモートワーク導入率(※) | IT業界全体で73.9%と非常に高い | PCとネット環境があれば完結できる業務が多いため、場所を選ばない働き方を実現しやすい職種です。ただし、セキュリティ要件などにより常駐勤務の求人も依然として存在します。 |
| 月間平均残業時間 | 約20~30時間(目安) | 納期の遵守や、予期せぬシステム障害への対応が主な理由です。プロジェクトの繁忙期に集中しやすい傾向があります。 |
| 男女比 | 男性:女性=8:2(目安) | IT業界全体で男性比率が高いですが、女性エンジニアの数は増加傾向にあり、企業も多様性の確保に努めています。 |
※新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査 第6回調査結果(2023年4月19日公表)|内閣府
事業内容による働き方の違い
所属する企業のビジネスモデルによって、働き方は大きく2つに分かれます。
- 自社開発:プロダクトを「育てる」働き方
自社で企画・開発したWebサービスやアプリを運営している企業での働き方です。特定のプロダクトに長期間関わり、ユーザーの反応を見ながら改善を重ねていくため、サービスへの愛着や当事者意識を持ちやすいのが特徴です。 - 受託開発:多様な案件で「腕を磨く」働き方
クライアント企業から依頼を受け、様々なWebサイトやシステムを開発する企業での働き方です。短期間で多様な業界の案件に携われるため、幅広い技術や知識をスピーディに習得できるのがメリットです。
企業規模による働き方の違い
働く企業によって、求められる役割や成長の仕方が大きく変わります。
| IT企業の規模と働き方 | |
| スタートアップ/ベンチャー企業 | 少人数のチームで、一人ひとりの裁量が大きいのが特徴です。体系的な研修よりも、実践の中で自走しながら学ぶスタイルが合う人に向いています。 |
| 中小企業 | 受託開発企業であれば様々な業界の案件に携われます。自社サービスを運営する企業では、特定のプロダクトに長期間関わり、サービスの成長と共に自分も成長していく実感を得やすいのが特徴です。 |
| 大手企業 | 充実した新人研修制度が最大の魅力である傾向があります。数ヶ月かけてじっくりと基礎を学び、配属後も先輩が手厚くサポートしてくれる環境が整っていることが多いです。 |
4. バックエンドエンジニア未経験者採用で、担当者が見ているポイント
企業が未経験者を採用する際、必ずしも「即戦力となるプログラミングスキル」だけを見ているわけではありません。むしろ、サービスの裏側を支えるバックエンドエンジニアだからこそ、これまでの実務経験で培われた「見えない部分を想像し、物事を正確に進める力」が、将来性を判断する上で重要な評価ポイントになります。
「自分にはITとは無関係な経験しかない…」と考える必要はありません。あなたのこれまでのキャリアを振り返れば、バックエンドエンジニアの仕事で強力な武器になる経験がきっと見つかります。
武器になる経験①:業務プロセスの課題を発見し、改善に導いた経験
たとえば……
- お客様の話をじっくり聞き、言葉の裏にある「本当の要望」を探った経験
- 職場の非効率な作業を見つけ、「もっとこうすれば楽になるのに」と考え、改善を提案した経験
- マニュアル通りではなく、相手の状況に合わせて柔軟に対応し、感謝された経験
こうした「なぜ?」を考え、課題の本質を捉える力は、優れたシステムを作る上で最も重要な「要件定義」の能力に直結します。ユーザーが本当に求めている機能を開発したり、ビジネスの成長に繋がるシステムを設計したりする上で、この経験は必ず活かすことができます。
武器になる経験②:複雑な情報を整理し、正確な手順で進めた経験
たとえば……
- たくさんの情報を取捨選択し、要点をまとめて分かりやすく報告した経験
- 後輩や新人のために、業務マニュアルを分かりやすく作り直した経験
- 決められたルールや手順を守り、ミスなく正確に物事を進めるのが得意だった経験
この力は、システムの設計図となる「データベース設計」や、誰が読んでも理解できる「論理的で綺麗なコード」を書く仕事にそのまま活かせます。情報を構造化し、一貫性のあるルールで整理する力は、堅牢でメンテナンスしやすいシステムを構築するバックエンドエンジニアにとって、非常に価値のある素養です。
武器になる経験③:緻密な計画を立て、粘り強く最後までやり遂げた経験
たとえば……
- 納期から逆算し、実現可能な作業計画を立ててプロジェクトを進めた経験
- 予期せぬトラブルが発生した際、冷静に原因を分析し、解決策を見つけ出した経験
- 誰かのサポート役として、縁の下の力持ちになることに喜びを感じた経験
プログラミングは、ほんの少しの記述ミスがシステム全体のエラーに繋がる、地道で正確性を求められる作業の連続です。また、バグ(不具合)の原因究明には、粘り強い試行錯誤が欠かせません。物事を正確に、そして最後まで丁寧にやり遂げる力は、サービスの品質と安定稼働に責任を持つエンジニアにとって、最も信頼される素養の一つと言えるでしょう。
5. バックエンドエンジニアになった後の未来をチェック!
一度スキルを身につければ、その先のキャリアの選択肢が大きく広がるのも、バックエンドエンジニアの魅力です。ここでは、転職後のキャリアの市場価値について紹介します。
実務で身につくバックエンドエンジニアのスキルとは?
- 専門・実行スキル
PythonやJavaといったサーバーサイド言語はもちろん、データベース(SQL)やクラウド(AWSなど)といった、IT業界で広く応用が効くスキルが身につきます。まさに「手に職」と呼べる専門性です。 - ポータブルスキル
複雑な課題を論理的に分解して解決する「課題解決能力」や、他職種のメンバーと円滑に仕事を進める「コミュニケーション能力」といった、どんな仕事でも役立つ力も磨かれます。 - キャリアチェンジに繋がるスキル
ビジネス要件をシステムに落とし込む過程で「プロジェクトマネジメント」の基礎が、システムの全体設計に携わる中で「ITアーキテクト」としての視点が自然と身につきます。
バックエンドエンジニアのキャリアパス
バックエンドエンジニアとして経験を積むことで、多様なキャリアへと繋がります。
| キャリアの方向性 | 具体的なキャリアパス | 役割・ミッション |
| バックエンドを極める | チームの中核を担う「シニアエンジニア」 | 高度な実装を担うだけでなく、若手の指導やコードレビューを通じて、チーム全体の技術力を底上げする中核的な存在です。 |
| 技術でチームを導く「テックリード」 | プロジェクトやチームの「技術的な羅針盤」役。フレームワークの選定など、開発の方向性を決める重要な技術判断を担います。 | |
| 経験を活してキャリアチェンジ | 技術の幅を広げる「フルスタックエンジニア」 | フロントエンドの技術も習得し、サービスの見た目から裏側の仕組みまで、一人で開発できるエンジニアを目指します。 |
| チームを育てる「エンジニアリングマネージャー(EM)」 | メンバーの育成や評価、採用、働きやすいチーム作りを通して、組織全体の開発力向上を目指します。 | |
| プロダクトを導く「プロダクトマネージャー(PdM)」 | 「何を作るか」「なぜ作るか」を追求し、プロダクトの成功に責任を持ちます。市場調査や機能の優先順位付け、開発進捗の管理が主な役割です。 |
AIに仕事は奪われる?
「AIの台頭によって、仕事がなくなるのでは?」という懸念を耳にすることもありますが、その心配は不要です。
むしろ、AIはバックエンドエンジニアの役割を「代替」するのではなく、「高度化」させるパートナーだと考えてください。単純なコーディングはAIに任せ、人間であるエンジニアはより創造的で付加価値の高い業務、たとえば複雑なビジネス要件の整理や、システムの全体設計、チーム間のコミュニケーションといった、AIには代替できない業務に集中できるようになります。
6. 【完全ロードマップ】未経験から「なれる」に変わる、4つのステップ
「挑戦してみたい」その気持ちを現実に変えるための、具体的なロードマップをご紹介します。
Step1:土台となるテクニカルスキルを身につける
まずは、バックエンドエンジニアとして働く上で基本となる技術をインプットしましょう。
- Webの基礎を学ぶ: インターネットやサーバーがどう動いているのか、といった基本的な仕組みを理解すると、後の学習がスムーズに進みます。
- サーバーサイド言語を1つ選ぶ: PythonやRubyは比較的文法が分かりやすく、未経験者におすすめです。ProgateやUdemyといったオンライン学習サイトを活用するのが良いでしょう。
- 開発の「作法」を知る: プロの開発現場では、Gitというツールでコードの変更履歴を管理するのが常識です。早めに触れておきましょう。
Step2:学んだ技術で「ポートフォリオ」を作成する
ITエンジニアの転職では、資格よりも「何を作れるか」が重視されます。学習の集大成として、自分だけのオリジナルWebアプリケーション(ポートフォリオ)を作りましょう。ユーザー登録・ログイン機能や、データの登録・更新・削除ができる簡単なブログやToDoリストなどが良いでしょう。
Step3:「転職軸」を定め、「武器」を言語化する
テクニカルスキルの学習と並行して、転職活動の準備も進めましょう。「なぜバックエンドエンジニアになりたいのか」を深掘りし、あなたのこれまでの経験を棚卸しして、「なぜその経験が活かせるのか」を自分の言葉で説明できるようにすることが大切です。
Step4:「価値」を証明し、内定を勝ち取る
準備が整ったら、いよいよ実践です。職務経歴書や面接では、これまでの経験や学習した技術をただ羅列するのではなく、「その経験から何を学び、その学びをどう活かして貴社に貢献できるか」という視点で、自信を持ってアピールしましょう。
【でも…】このロードマップ、一人で走りきれますか?
「自分の本当の強みは、どう見つければいいのだろう?」
「未経験でも通用する職務経歴書の書き方が分からない…」
「面接で何を、どう伝えれば評価されるのだろう…」
未経験からの挑戦では、こうした壁にぶつかるのは自然なことです。でも、ご安心ください。そのためのプロフェッショナルがいます。
リスキリング転職サービス「WorX(ワークス)」では、この転職ロードマップの全てを、専門のカウンセラーと現役で活躍するメンターが徹底的にサポートします。
- 転職成功後のスタートダッシュまで見据えた、実践的なカリキュラム
- あなたの強みを見つけ出し、言語化するプロのキャリアカウンセリング
- 採用担当者に響く、職務経歴書の添削と模擬面接
WorXの最大の特徴は、学びながら本当に自分が目指したい職種を決められること。「エンジニアを目指してみたけど、向いていないかも…」そんなミスマッチを防ぎ、あなたの可能性を最大限に広げます。
また、料金のお支払いは転職成功した後です。「せっかく高いお金を払っても無駄になったらどうしよう」という不安なく取り組めるので、転職活動に集中できますよ。
まずは無料のキャリアカウンセリングで、あなたの可能性を確かめてみませんか?
