Job Dictionary インハウスマーケター|自社の事業成長を仕組み化する仕事

インハウスマーケターの仕事に対して、こんなイメージはありませんか?

  • 「事業会社だから、広告代理店より楽そう」
  • 「マーケティングって、なんだかキラキラした仕事」
  • 「でも、結局は地味な作業が多くて、専門スキルは身につかないのでは?」

実はその多くが「誤解」です。

この記事では、インハウスマーケター未経験者向けに、仕事内容や働き方のリアル、そしてキャリアの将来性まで、転職を考える上で本当に知りたい情報を一挙に解説します。未経験からインハウスマーケターになるための具体的なロードマップも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

Index

1.インハウスマーケターの仕事内容

仕事の全体像から1日の流れ、そして「きつい」と言われる理由まで、リアルな情報をお伝えします。

インハウスマーケターの仕事って?

インハウスマーケターの仕事は、自社の商品やサービスが売れる仕組みをつくり、事業の成長を内側から支える専門職です。

広告運用、SEO対策、SNS運用、メルマガ配信、イベント企画など、その手法は多岐にわたります。単に施策を実行するだけでなく、「どの手法を、いつ、どのように組み合わせれば、事業の売上が最大化するか」を考え、実行し、改善を繰り返すことがミッションです。

💡未経験者が知っておきたい専門用語
SEO(エスイーオー)Googleなどの検索エンジンで、自社のWebサイトを上位に表示させるための施策のこと。
LTV(ライフタイムバリュー)「顧客生涯価値」と訳される。一人の顧客が、取引を開始してから終了するまでの期間に、自社にどれだけの利益をもたらすかを表す指標。
KPI(ケーピーアイ)「重要業績評価指標」と訳される、最終的な目標(KGI)を達成するための中間指標のこと。
CRM(シーアールエム)顧客との関係を管理し、長期的な利益を最大化するための手法やツールのこと。メルマガ配信などが代表例。
MA(エムエー)見込み客の情報を一元管理し、メール配信などで段階的にアプローチを自動化する仕組みのこと。

広告代理店マーケターとの違い

マーケティングの仕事でも、インハウスマーケターと広告代理店のマーケターは、立場やミッションが大きく異なります。

インハウスマーケター広告代理店のマーケター
立場事業会社(広告主)支援会社
ミッション自社の事業成長(売上・利益)クライアントの課題解決
関わる領域マーケティング全般(上流〜下流)広告運用など専門領域に特化
強み事業への深い理解、施策の速さ複数業界の知見、最新情報
評価指標売上、利益、LTVなど事業指標CPA、CVRなど広告指標
働き方比較的柔軟な働き方がしやすいクライアントの都合に左右されやすい

インハウスマーケターの1日(経験1〜2年目のスケジュール例)

新人インハウスマーケターを想定した、1日のスケジュール例を紹介します。

時間業務内容活用するスキル・ツール
9:30-10:00出社・情報収集
メールチェック、業界ニュースの確認、各広告媒体の管理画面で数値チェック
Slack, Google広告, Meta広告
10:00-11:00朝会
チームで昨日の実績や今日のタスク、課題を共有
Google Meet, Slack
11:00-12:00広告運用・レポーティング
日次レポートを作成し、広告の入札単価やクリエイティブを調整
Excel, Google Analytics
12:00-13:00昼休憩
13:00-15:00部署横断ミーティング
営業部や開発部と、新機能のプロモーション企画について打ち合わせ
Googleスライド, miro
15:00-17:00施策の企画・準備
新しいWeb広告キャンペーンの企画書作成、デザイナーにバナー制作を依頼
PowerPoint, Figma, Asana
17:00-18:00分析・改善
Google Analyticsなどのツールを使い、Webサイトのアクセスデータを分析
Google Analytics, Looker Studio
18:00-18:30タスク整理・退社
明日のタスクを整理し、日報を提出して退社
タスク管理能力<br>(Notion, Googleカレンダー)

2.インハウスマーケターの厳しさとやりがいのリアル

「インハウスマーケター」と検索すると、「きつい」「やめとけ」といった言葉を目にして、不安になるかもしれません。ここでは「大変さ」の正体と、それを上回る「やりがい」について、正直にお伝えします。

「きつさ」の正体は、事業全体への責任

インハウスマーケターの仕事は、事業の売上や利益といった最終的な数字に直接的な責任を負います。広告の成果が良ければ事業が伸び、悪ければ事業が傾く可能性も。そのプレッシャーの大きさが「きつさ」の正体です。また、営業部門をはじめ社内の様々な部署との調整役を担うため、板挟みになる苦労もあります。

「やりがい」は、自分の手で事業を動かす実感

自分の企画や施策がダイレクトに事業の成長に繋がる実感があるのが、インハウスマーケターのやりがいです。営業、開発、カスタマーサポートなど、他部署のメンバーと一体となって目標を達成したときの喜びは、何物にも代えがたいものがあります。事業の当事者として、その成長を内側から支えられる魅力的な仕事です。

3.インハウスマーケターの働き方

インハウスマーケターに転職した後、どんな働き方やライフスタイルになるのか、データを交えて紹介します。

データでわかるインハウスマーケター

項目数値備考
平均年収未経験者:350万円~450万円
経験者:450万円~700万円
成果次第でインセンティブが支給される企業も。
リモートワーク導入率(※)約50%PCがあれば完結する業務が多く、導入しやすい。
平均残業時間20~30時間/月繁忙期や担当プロジェクトによって変動。
平均年齢20代後半~30代前半デジタルネイティブ世代が中心となって活躍。
男女比ほぼ5:5性別による有利不利なく活躍できる職種。

※2025年9月時点での、各種転職サイトや業界レポートのデータを参考にしています。実際の数値は企業や個人のスキルによって変動します。

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企業規模による働き方の違い

インハウスマーケターの役割は、企業のフェーズや規模、事業内容によっても大きく変わります。

スタートアップ・ベンチャー企業では、一人で幅広い領域を担当する「何でも屋」的な役割を求められます。社内に専門家がいない場合は、外部の広告代理店や制作会社と連携し、そのディレクションを担うことも少なくありません。予算が限られる中で、知恵と工夫を凝らして成果を出す力が必要です。裁量が大きく、成長スピードが速いのが特徴です。

中小・大手企業では組織が細分化されており、広告、SEO、SNSなど特定の領域を専門的に担当することが多いです。関係部署が多く、調整力が求められます。大きな予算を動かし、ダイナミックな仕事ができる可能性があります。特に大手メーカーでは、特定の商品やサービスのブランド価値全体に責任を持つ「ブランドマネージャー」へとステップアップするキャリアパスも描けます。

4. インハウスマーケターの未経験転職で、採用担当が見ているポイント

「マーケティングの実務経験がないから、アピールできることが何もない…」 と不安になるかもしれません。

インハウスマーケターの未経験採用で見られるのは、広告運用のような専門スキルだけではありません。社内外の関係者を巻き込みながら成果を出す推進力をはじめ、他の業界・職種でも身につくポータブルスキルも重視されます。

ここでは、インハウスマーケターの未経験採用でアピールできる経験の例を紹介します。

武器になる経験①:事業の数字を「自分ごと」として、追いかけた経験

インハウスマーケターの仕事は、広告のクリック率といった目標の先にある、事業の売上や利益そのものに責任を持つことです。広告代理店と連携しながら、強い当事者意識を持って数字と向き合います。

過去の仕事で何らかの「組織の目標」を自分ごととして捉え、達成のために試行錯誤した経験は、強力な武器になります。

例えば、こんな経験はありませんか?

  • チームの売上目標を達成するために、個人の動きだけでなく、メンバーの成功事例を共有する仕組みを作った
  • 店舗の利益率を改善するために、売れ筋商品の分析結果を店長に提案し、仕入れ計画に反映してもらった
  • 部署全体のコスト削減目標に対し、業者との価格交渉や、より安価な代替ツールの導入を主導した

「与えられた個人の目標だけでなく、その先にある事業や組織全体のゴールを意識し、どうすれば貢献できるかを自ら考え、行動した」という経験こそ、インハウスマーケターに不可欠な「事業家目線」の証明になります。

武器になる経験②:専門性が異なるメンバーを巻き込み、プロジェクトを推進した経験

インハウスマーケターは、さまざまな部署と連携しながら、事業を前に進めるプロジェクトマネージャーのような役割を担います。

たとえば、新商品の販売促進キャンペーンを一つ実施するにも、営業部、商品開発部、カスタマーサクセス部など、部署ごとに異なる要望や視点が飛び交います。意見を調整しながら、どの部署も納得いくゴールへと導く力が求められます。

例えば、こんな経験はありませんか?

  • 他部署のメンバーと協力して、社内イベントを企画・運営した
  • 顧客からの複雑な要望に対し、技術部門や営業部門と連携して最適な解決策を提案した
  • 複数の取引先との間に立ち、利害が対立する中で納期や予算の調整を行った

このような経験で培われた「調整力」や「プロジェクト推進力」は、事業を成功に導く上で欠かせないスキルです。

武器になる経験③:顧客の声から、事業やサービスを改善した経験

顧客の声を社内に届け、製品やサービスそのものを良くしていくこともインハウスマーケターの役割です。

そのため、これまでの仕事で顧客と直接向き合い、その言葉の裏にある本質的な課題を捉え、事業改善に繋げた経験は、非常に価値のあるものになります。

例えば、こんな経験はありませんか?

  • 営業や販売の現場で、顧客から頻繁に受ける要望をまとめて、商品企画部にフィードバックした
  • カスタマーサポートとして、集まったクレームを分析し、サービスのUI/UX改善案をエンジニアに提案した(※UI/UX:Webサイトやアプリの見た目や使いやすさのこと)
  • BtoBの取引で、顧客の成功事例をヒアリングし、他の顧客にも役立つコンテンツとして発信した

これまでの経験で培われた「顧客の声を企業価値に転換する力」は、事業の根幹を強くするマーケティング活動に不可欠な、あなただけの武器になるのです。

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5. インハウスマーケターになった後の未来をチェック

キャリアパスや将来性など、長期的な視点での疑問にお答えします。

実務で身につくインハウスマーケターのスキルとは?

インハウスマーケターとして働くことで、以下のような多岐にわたるスキルが身につきます。

  • マーケティング専門スキル: 広告運用、SEO、コンテンツマーケティング、SNS運用など
  • 分析スキル: Google Analyticsなどを用いたデータ分析、市場調査、競合分析
  • 事業推進スキル: プロジェクトマネジメント、予算管理、社内外との調整能力

インハウスマーケターのキャリアパス

身につけたスキルを活かし、多様なキャリアパスを描くことが可能です。

キャリアの方向性具体的なキャリアパス役割・ミッション
マネジメントマーケティングマネージャーチームや部門を統括し、メンバーの育成やマーケティング戦略の実行に責任を持つ。
CMO(最高マーケティング責任者)経営メンバーとして、会社全体のマーケティング戦略の策定と実行の全責任を負う。
スペシャリスト広告運用担当広告の成果を最大化する専門家として、運用戦略の立案から実行・分析までを担当。
SEO担当検索エンジンからの集客を最大化するため、コンテンツ企画やサイトの技術的な改善を行う。
CRM担当顧客との関係を管理・分析し、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指す施策を実行する。
事業・ブランド事業企画/プロダクトマネージャーマーケティング視点を活かし、新事業の立案やプロダクトの企画・開発を主導。
ブランドマネージャー担当するブランドの価値向上に責任を持ち、コンセプト策定からプロモーション戦略までを統括する。
独立フリーランス/コンサルタントインハウスマーケティングの実績を活かして、複数の企業のマーケティング活動を外部から支援する。

AIに仕事は奪われる?

インハウスマーケターの仕事がAIに完全に奪われる可能性は、極めて低いです。むしろ、AIを使いこなせるマーケターの価値は、今後さらに高まっていくでしょう。

確かに、AIの進化によって、広告の入札単価最適化や、膨大なデータに基づく顧客セグメント作成、レポート作成といった一部の「作業」は自動化されつつあります。

しかし、これらはあくまで「作業」です。インハウスマーケターの仕事の本質は、これらの作業の先にある、人間にしかできない価値を提供することにあります。

  1. 事業戦略と紐づいた「問い」を立てる力: AIは与えられた問いに最適な答えを出すのは得意ですが、「そもそも、今追いかけるべき指標(KPI)はこれで正しいのか?」「ブランドの世界観を守りつつ、売上を伸ばすには?」といった、事業の根幹に関わる問いを立てることはできません。
  2. 社内外を巻き込む「交渉・調整」の力: 営業部の持つ顧客の生の声や、開発部の持つ製品への想いを汲み取り、一つのプロジェクトとしてまとめ上げる複雑なコミュニケーションは、人間にしかできません。AIが部署間の利害を調整することは不可能です。
  3. 顧客の感情を動かす「創造性」と「倫理観」: データからは見えない顧客のインサイトを捉え、共感を呼ぶクリエイティブを企画したり、企業のブランドとして守るべき一線を判断したりすることは、人間の感性や倫理観が不可欠です。

インハウスマーケターは、AIに作業を徹底的に任せることで、より戦略やクリエイティブに集中できます。AIを最高のパートナーとして乗りこなすことで、今後も市場価値を高められる職種です。

6. 【完全ロードマップ】未経験から「なれる」に変わる、3つのステップ

未経験からインハウスマーケターへの転職は簡単ではありません。しかし、正しいステップを踏むことで、可能性を大きく高めることができます。

Step1: まずは正しい知識をインプットする

最初に、マーケティングの基礎知識を体系的に学びましょう。書籍やWebサイト、動画など、今は無料で学べる教材も豊富にあります。

  • おすすめアクション:
    • マーケティングの「考え方」を学ぶ本を読む
      • インハウスマーケターには、小手先のテクニックより、事業を伸ばすための「思考法」が求められます。まずは以下の書籍で、マーケティングの全体像と本質を掴むのがおすすめです。
      • 『ドリルを売るには穴を売れ』(佐藤義典 著)
      • 『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』(森岡毅 著)
  • 無料で取得できる「資格」で知識を証明する
    • 学習の成果を客観的に示すために、資格取得を目指すのも有効です。特にGoogleの認定資格は無料で、世界的に認知されています。
    • Google アナリティクス認定資格
    • Google 広告認定資格
  • オンライン学習コンテンツで特定のスキルを学ぶ
    • Udemyなどのプラットフォームでは、SEOやSNS運用など、特定の分野に特化した講座を数千円から受講できます。自分の興味がある分野から学んでみましょう。

Step2: スキルと熱意を証明する「ポートフォリオ」を作る

知識をインプットするだけでなく、実際に手を動かしてみることが、他の未経験者との大きな差別化につながります。

ポートフォリオの題材例

  • 個人のSNSアカウント(XやInstagram)を本気で運用し、フォロワー数やエンゲージメント率の推移を分析する
  • 自分でブログを立ち上げ、SEOを意識した記事を作成してみる
  • 簡単なWebサイト(ネットショップやポートフォリオサイト)を制作し、Google Analyticsを導入してアクセス解析を行う
  • スマートフォンのアプリなどを使い、簡単な紹介動画を制作・編集してみる

Step3: 企業の「視点」を知り、転職活動を有利に進める

企業の採用担当者が「どんな人材を求めているのか」を理解することが、内定への近道です。

転職エージェントをはじめキャリアの専門家にアドバイスをもらうことで、自分のキャリアを客観的に見つめ直せます。

また、気になる企業の採用サイトを見たり、マーケティング施策を分析してみたりして、どんな人材が必要なのかもチェックしてみてください。

【でも…】このロードマップ、一人で走りきれますか?

ここまで読んで、「自分にもできるかもしれない」という希望と同時に、「これを全部一人でやるのは大変そうだ…」という不安も感じたのではないでしょうか。

未経験からのキャリアチェンジは、正しい知識と方向性で努力を続けなければ、貴重な時間を無駄にしてしまう可能性もあります。

もしあなたが、「本気でインハウスマーケターになりたい」「でも、一人でやりきれる自信がない」と感じているなら、一度プロのキャリアアドバイザーに相談してみませんか?

私たちWorXでは、未経験からマーケターへの転職を目指す方々を、学習から転職活動まで一貫してサポートしています。

少しでも興味が湧いた方は、まずは無料カウンセリングで、あなたのキャリアの悩みや将来の希望を聞かせてください。無理な勧誘は一切ありませんので、安心してご相談いただけます。

WorX編集部記事を書いた人

これまで多くの受講生の転職成功をサポートしてきたWorXが、独自のノウハウをもとに未経験転職に役立つ情報を発信しています。

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